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独りシェアルーム

きっとあなたの蜜になる

7.魔法のランプ

 

 

何でもしてあげるから。

 

そう母親は言った。

そうまでして自分の思い通りにしたいらしい。

 

親の庇護のもとで暮らしている以上、

ある程度両親の指示に従わなければならないのは分かってる。

それを教育と呼んだり、愛と呼んだり、心配と呼んだりするだけだ。

この母親の懇願にも似た言葉はきっと、

憐れみと呼んだりするものだったと思う。

今まで生きてきた20年間で、

母親がこんなにも強くわたしに何かをさせようとしたことはなかった。

何でもする、なんていうドラマや漫画のような台詞を吐いてまで。

 

母親はよくわたしに対して、「もったいない」と言ってきた。

才能や時間を生かせていない、と。

わたしは今までの自分の人生がもったいないものなんかじゃなかったと思っているし、

その時々の全力を出して生きてきたと思っていた。

人並みに勉強もしたし、友達も少なくてもいたし、月並みでも人の役にたったこともある。

人に認められた経験だってないわけじゃない。

こんな人間には十分すぎるくらい、恵まれた人生じゃないか。

母親はわたしのことを買い被っているんじゃないだろうか。

今までずっとそう思ってきた。

 

主治医の先生曰く、

「今までの人生とは比べ物にならないくらい、見える世界が変わる」らしい。

治療が上手くいって最後まで逃げなかった場合、と付け加えられたけど。

つまり母親が感じていたように、今までの人生が「もったいなかった」と思うようになるのかもしれないということか。

今までの積み重ねてきた人生が間違っていたのかもしれないのか。

そんなことになれば、今のわたしは全否定されているようなものじゃないのか。

 

そう思うと、ただただ怖かった。

 

何でもしてくれるのに、

何もして欲しいことが浮かばない。