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独りシェアルーム

きっとあなたの蜜になる

10.失ってはじめて

 

 

その大切さに気付いた。

J-POPでありふれ過ぎて重みが紙切れ程度に成り下がり、パーマ大佐が歌い出しそうな言葉ではある。
失わないと気付かない大切さなんざ、結局はその程度なんだろ。
失った原因が死なのか、恋愛的な別れなのか、距離的な環境なのかにもよるだろうけど。

改めて有り難みを感じて、大切さを思い知るってんなら解らなくもない。
自分が言いたいのはこういうケースじゃない。
傍にいるのが当たり前過ぎて、居なくなってから初めて有り難みを感じた。
こういうクソみたいなケースのことだ。

失った要因に挙げた3つの中で、多分このクソケースは恋愛的な別れに多いんだろうなと思う。
失ってから気付いた大切さ、なんて綺麗な言葉で着飾っただけの自己保身だろう。
お前が気付いたのは失った恋人の大切さではなくて、「他者から認められ愛されて居た自分」の大切さだろう。
恋人という存在がいることによって確立されていたアイデンティティが拡散するのが怖いだけだろう。
代わりになってくれる人さえ見つかれば、失った恋人のことなんか忘れられるんだろう。

卑屈かもしれないがそう感じてしまう。

 

そもそもどうしてそうまでして恋人を作ろうとするんだろう。

彼氏彼女がいるという一種のステータスが欲しいのか。

恋人がいないという人間性の欠陥じみた要素を消したいのか。

自己肯定感を補強してくれる存在として恋人を求めるのか。

どの程度までの行為なら人に愛され続けられるのか試しているのか。

 

好きだという感情や、

誰かを喜ばせたいという想いや、

力になりたいという考えは、

どこまで他者のことを想ってのものなんだろう。

どこまで、信用に値するものなんだろう。

 

期待した分だけ裏切られた時のダメージが大きいことくらい解ってる。

それでもそれを止められないのは、自分が弱いから。

どんな言葉を並べた所で結局、自分も他者から認められたいと想っているから。

 期待していないと、そんなチャンスも掴めないことを解っているから。

 

自分ですら望ましいと思えない自分を

一体誰が認めてくれると言うんだ。