読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

独りシェアルーム

きっとあなたの蜜になる

30.クリスマスイブ

 

これ以上あなたのことを嫌いになりたくないから、もう何も言わないで。

 

高校の時に付き合った彼氏と別れた時に、わたしが言った言葉。

せっかくだから彼とのことを振り返ってみようかなと思う。

というのも成人式を迎える日、彼から連絡が来たことを唐突に思い出したからってだけなんだけど。

 

 

勘違いされそうだから先に言っておくと、わたしはわたしのことを好いてくれる類稀なるひとのことを大切にしたいと思っている。

これから話す元彼のことも当然そうだった。

 

 

高校で付き合った彼は、同じ学校の寮生だった。

クラスは2年生になるまではバラバラで、関わったことがあるのはせいぜい世界史や日本史の授業と卓球部の活動時間くらい。

寮生でもなかったわたしのどこに惹かれて付き合うことになったのかは、もう正直覚えてない。

告白してくれたのは彼の方からだった。

 

付き合うと言っても彼は寮生だったし、登下校を共にできるわけではなかった期間が長かった。

休日だって部活動があったし、遊ぶのだってそんなに頻繁だったわけではない。

せいぜいご飯を食べに行ったり、彼の買い物に付き合ってたくらいかな。

 

ところで、うちの卓球部は異性間の部内恋愛が禁止だった。

同性間ならいいんかい、と思われるだろうけどそこは禁止されてなかった。

だから当時のわたしと彼は、部活メンバーやクラスメイトに隠れて付き合っていた。

 

お互い恋愛に不慣れだったというのと、幼かったというのもあるだろうけど本当に喧嘩が多かった。

1週間の半分は喧嘩してたんじゃないかと思うくらい。

その中でもよく覚えているのは、わたしの交友関係を巡っての喧嘩。

 

よく「わたしと仕事どっちが大事なの!?」とヒステリックに叫ぶ女性がいるけど、

当時の彼氏は「俺と友達どっちが大切なんだよ」とヒステリックに怒る人だった。

時と場合によると返事をしたらめちゃくちゃキレられた。

暴力こそ振るわれなかったものの、言葉の暴力はなかなかなものだった。

 

消えろ

気持ち悪い

生きてる価値がない

息を吸うな

死ね

 

これらの暴言を吐いた後で、必ず決まって彼からは「気が狂ってただけなんだ、ごめん」と謝られた。

その度にわたしも許してしまっていたし、その時点で間違ってたんだと気付くのはもう少し後。

 

高校3年生になった冬の日、学校で会ったにも関わらずお互い一切目も見ずに下校したことがあった。

多分なにか喧嘩でもしてたんだと思う。

それに腹を立てた彼が、またいつものように罵詈雑言を吐いてきた。

その時の文面は確かこんなかんじ。

 

 

別れろ

死ね

頼むから死んでくれ

気持ち悪い女のご機嫌とりさせられて

馬鹿らしい

早く死ねよ

 

 

何故かいつも通り罵られただけなのに、その時は彼からのLINEに全く傷付かなかった。

確かその日がクリスマスイブだった。

死んであげられないけど別れるね、今までありがとう

と返信をして、家族や親戚とホームパーティーを楽しんだ記憶がある。

 

その後何十件何百件とLINEや着信が来て復縁をせがまれたのは、今となっては笑い話だ。