独りシェアルーム

きっとあなたの蜜になる

37.素直

 

少しくらい素直になってもいいんだよ。

こうしなきゃいけない、とか

こうするべきだから、とか

考えるのをやめてみてもいいんだよ。

 

そう言われても、自分の素直な気持ちを口に出せるほどの愚直さもなければ

誰かの想いを無視してまで自我を通せる強さも

何も考えずに突っ走れる度胸も

わたしには何もない。

 

わたしの原動力はいつもマイナスだった。

これをしないと怒られる。

こんなことをしたら嫌われる。

こうしたほうが悲しまれない。

そんなことばかり。

 

もうそもそもこの時点で素直じゃない。

こうしたら褒められる。

こんなことをしたら好かれる。

こうしたほうが喜ばれる。

こうは考えられなかったわけだから。

 

だって怖かったんだ。

自分の好きなように振舞って、誰かに怒られたり嫌われたりした人をたくさんみてきたから。

兄だったり、友達だったり、クラスメイトだったり。

たくさんの陰口や悪口を聞いてきたんだ。

空気を読めないとかわがままだとか、自分勝手で自己中心とか。

父だったり、祖父だったり、叔母だったりの。

 

嫌われてもいいと思えなかった。

好かれなくてもいいから、嫌いになられたくなかった。

同級生や先輩後輩、先生やバイト先の同僚はもちろん、同じ電車で隣に座った人にすら。

敵意を向けられるのが、掌をかえされるのが、舌打ちをされて睨まれるのが怖かった。

 

素直な人はどうやって生きてきたんだろう。

 

素直になっていい、と言われても

自分の素直な感情がどこにあるのかわからない。

悲しさとか虚しさとか、情けなさはすぐに解るのに。